【映画感想】アニメ映画「グッバイ・ドングリーズ」を見てきました【ネタバレ含む】
いしづかあつこ監督×マッドハウスといえば2018年放送のTVアニメ『宇宙よりも遠い場所』*1ですよ。
南極に憧れる女子高生、南極で消息を経った観測隊の娘、高校に行かないフリータ、幼い頃から芸能活動をしてきた女子高生レポーターの4人が南極で奮闘する物語(かなり割愛した)
女子高生が南極に行くって、結構壁だらけですよね。組織で動くし、体力もいるし、なにせよいつ命を落としてもおかしくない状況で判断力が問われる…
そ んな状況の中で、4人それぞれのバックグラウンドや、成長が書かれていて面白かったです。
と、タイトルからかなり話がそれました。『宇宙よりも遠い場所』のタッグっていうのもそうなのですが、見に行く決定打になったのは主題歌でした。
昔から[Alexandros]が好きで・・・ちょと離れた時期もあったんですが。とまた話が反れていきそうなので、この話はまたいつか記事にしたいと思います。
『宇宙よりも遠い場所』でもそう感じたのですが、ほんとうに『世界は広い』ってメッセージは強いと思いました。この、いくつかの冒険の中で、彼らがちょっと大人に成長していく様が、美しく、ちょっと儚く、それでも力強く描かれていると感じました。
⇓ ⚠ネタバレ注意⚠ ⇓
彼らの最初の冒険は、田舎町から山一つ超えるような旅を自転車でするのですが、なかなかな無茶を…と思いつつも、私が中学校の時も周りの男子は自転車で山の向こうのイオンに行っていたから思考は同じか(?)
マウロなんかは、すごい人目を気にするんですけど、ドロップは見た目の幼さとは裏腹に、とても自分軸な考え方で、ドングリーズに様々な提案をしてきます。この容姿の割に達観した様子に最初、違和感を覚えるのですが・・・ここのバックボーンも重要なものの、はっきり書きすぎないところも視聴者を楽しませてくれていると思います。
マウロとトト「二人」のドングリーズから「三人」のドングリーズになっていく姿をみていると、自分が子供の頃にもこういうの、あったなあ・・・と思う反面、思春期ならではの、葛藤もあって。それでもドングリーズの関係とか、経験ってすごい羨ましく感じました。
多分、見た人の学生時代の生き方とか、今の生き方次第で心に刺さるキャラクターは3人それぞれ違うとは思うんですけど。私は一番、印象に残っているのは、1日かけて小さな滝の周りを1週した日の夜、ロウマがトトの本音をトランシーバー越しに聞くシーン。
どっかで自分たちを俯瞰してみるところもあったトトだが、やはり友人であるロウマを裏切るのが怖かった。ドングリーズに対して「ダサい」と放ってしまった後、ドロップにそう告げるトト。山奥まで参考書を持ってきて「俺、本当に医者になりたいのかな」「用意してもらった道を歩いているだけで…」と心の内を語るトト。
それまでの冒険のなかで「道なんて作ればいいんだよ」と、とても道とは言えない山の中を突き進むドロップに対抗していたトトを思い出します。
と同時に、今の自分に重ねたりして…
私は看護師をしています。別に親に用意してもらった人生ではありません。でも少なからず、親の目を気にして選んだ人生であることに違いないです。母子家庭でとてもじゃないけど大学に行きたいなんて言えませんでしたし、バイトとパート、夜勤、掛け持ちして働く母を見ていると「一人でも生きていける女にならなあかん。やりたいことみつけようとか言ってる場合ちゃう」と自分で強制的に看護師になる以外の道は捨てました。
そんな私も働き初めて数年、ほんとにこの人生でいいのか、道は本当にひとつしかなかったのか、と自分の人生を振り返る日々を過ごしていた時にこのシーンですよ。
刺さらないわけがないでしょう!
それでも(ちょっと話が先に飛びますが)ドングリーズの基地を火葬した時に「医者にでもならなきゃ、なんにも助けてやれない」とこぼす姿や、入場特典の小説を読んで、この道に決めたんだな。と安心しました。
そう、入場特典の小説『グッバイ・ハイスクール』ですよ!小説まで読んでやっと完結じゃないですか、映画で収まり切らなかったんですね…。
話は戻りますが、ドロップのバックボーンについては、はっきり書かれていませんね。おそらく病気で、短命であること。入院していたとは言わないが、病院のお姉さんに化粧を教えてもらった」とか「せっかくまた伸びてきたんだから」と髪の毛を伸ばして寄付しようとしていることとか、真実を二人に打ち明けた後の二人の心配そうな顔をみていると、そう考察できますよね。
それで冒頭の「明日、世界が終わるとしたら?」ってセリフと、アイスランドの赤い電話ボックスの冒険になるんですね。そして、違和感にも納得します。
ところで、アイスランドの大きな滝の近くにある赤い電話ボックスで『宝物』を教えてくれるって話は本当か知りませんが、モデル?になった電話ボックスは存在するみたいですよ。
ドングリーズ基地の火葬後、コーラのペットボトルに書かれた大雑把な地図を頼りに、二人もまた電話ボックスに向かうのですが、高校生の夏休みにアイスランド〜いいな。現実的に高校生二人でアイスランドは厳しいだろうけど…。
小ネタ(?)ですけど、二人ともドロップと同じように髪の毛を伸ばしていて、アイスランド出発前に断髪しているの、ちょっぴり可愛くないですか?ドロップが亡くなったって知らせを聞く前から髪は伸びていたので、最初の冒険からずっと伸ばしていたんでしょか?人目を気にしすぎるマウロなんかは特に、あの冒険で大きく成長したから、そんなことができたんだろうな…と思いました。
そして、「若干ホラーじゃん」とみんな思ったんじゃないでしょうか。ラストの種明かし
ドロップに宝物を教えたのはドングリーズだったし、その宝物もドングリーズだったんですね。
で!
これで終わらないでください!特典小説の『グッバイ、ハイスクール』最後がよかった…
映画をみた後、マウロは大人になったらどうなるんだろ…とかトトは医者を目指し続けているんだろうか…と妄想を膨らませていましたが。
ドロップの宝物が「15歳の最後の勇姿を見届けてくれる友達」であったように、きっと二人の宝物は「いつでも勇姿を見届けてくれる友達」だったんだね。本編のラストでは受話器を取れなかったけど(あの時、間に合っていれば、また別の冒険が始まっていたのかな?)それは、彼らが、自分たちで見つけたのだと思います。
「誰かから刺激をもらって、自分も飛び出そうって思えて、新しい世界が広がって」
「色んな国や場所で、色んな経験をするのはいいよな。俺もそのおかげでやりたいことがもっと明確になったっていうか。やる気がでたっていうか。」
本当にコレだなぁって思いました。この『刺激』がこの映画でもいいんですよ。そりゃ経験に勝るものはないと思いますが、音楽や映画、本、人、なんでも刺激になるし、そこからもらうパワーがこうして循環していくんだなって思いました。
ドングリーズ基地の跡地で将来の夢を叫ぶ彼ら、最後に。
『未来はわからない。だから大それたことを言ったほうが、きっとみている人はワクワクしてくれる。』
さて、主題歌『Rock The World』/ [Alexandros]
この映画を見た後に聞くと「書き下ろしだったか!?」と思えるほど合っているんですよね。
(確か書き下ろしではないはず…)私の解釈がめちゃくちゃなのかもしれませんが。
特に、上記のこのセリフ、彼が好きそうですね。
以上、『グッバイ、ドン・グリーズ!』の感想でした。