自己満ハイブリッドオタクの塵溜

いつどこで何のオタクをしているのか私にすらわからない

【映画感想】未来を見つめる時、きっと私はこう唱える「カモン カモン」

最近、映画を見たら次に見る映画のチラシを漁って帰るのがルーチンになってきている。

(そして壁に貼っていく…)

 

それで先月、ある映画のチラシをもらってきた。

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もうなんとも言えないノスタルジックな雰囲気に心打たれ…そして予告をみて絶対に観なければと。

 

happinet-phantom.com

 

ジェシーとジョニーの姿をみていると、身体の内側からジワ〜っと笑顔になった。

 

叔父とのひとときをノスタルジーに描いた作品…

だけではない。

 

リアルな子供たちの声

現代の母の苦悩

病と家族の関係

 

実は様々な問題を提示しているなと感じた。

 

モノクロの美しい世界、微笑ましい二人の姿とこれらの問題がいいバランス。

そこも含めて日常だなと。

 

ジェシーと過ごし初めて、ジョニーはこう言う。

「君はきっとこの出来事をおぼえていないだろう」(ニュアンス)

子供の頃の思い出ってくっきりはっきり覚えていることは少ないだろう。ジョニーは自分と過ごしたことなんぞ、ジェシーの記憶には残らないだろうと思うわけだ。

「覚えているよ」(これもニュアンス)

はっきり答えるジェシー

いや、案外ほんとうに心に残る思い出や、シーンはくっきりはっきりと覚えているんだよな。これが不思議で、私も9歳くらいの記憶ってほとんどないが、はっきり覚えているシーンもある。まあ、当時「覚えておこう」と思ったわけではないので難しいな…

 

ジェシーは不思議な愛情表現をする9歳の男の子。

突然、「親のいない子」を演じてコミュニケーションをとる。しかし、このロールプレイ(?)の中に彼の伝えたいことがある。子供も大人も、自分の気持ちを表現するのって難しいものだ。そしてそれを受け取るのも難しい。「わかりあう」って簡単に言ってしまうけど、本当に難しいことなんだって改めて思った。

むしろ、「親のいない子」になれば伝えられる9歳のほうがすごいんじゃないか?私なんかどう伝えればいいかわからないことは伝えないまま終わっていないか?

 

そんなジェシーとジョニーの距離感が本当に愛おしい。ジェシー役ウディー・ノーマンの自然な演技には圧巻。

広告のキャッチコピーに「大人もこどもも、どっちもどっち」とあったけれど、ほんとうに大人と子供の境界線がなくなる映画だった。

二人がベッドで眠っているあの幸せそうな画が今でも思い出せる。

 

 

作中よく、ラジオジャーナリストとして働くジョニーの録音機材を使って日常の音を拾っていくジェシーなのだが、その音もまた心地よく、待ちゆく人の足音、ビーチの波音、電車の走行音、スケートボードの音… きっと子供の目線と大人の目線では聞こえてくる音、拾いたい音は違うんだろうなと。おそらく、エンドロールで使用されていた音はジェシーが録音した音ではないでしょうか?エンドロールではその音をバックに様々な子供たちへのインタビュー音声が流れ続けて、最後の1秒まで思考を止めさせてくれない映画だった。

 

音に関していうと、劇伴もとてもよくて。さっそくspotifyでダウンロード…

C'mon C'mon (Original Motion Picture Score) - Album by Bryce Dessner, Aaron Dessner | Spotify

 

予告・作中でも使用されているのが、サックス四重奏のドビュッシー「月の光」

open.spotify.com

 

心が浄化される・・・

 

もう映画をみてからこの曲ばっかり聞いています。自分を鎮静する曲になりつつある…

 

もう一つ、この作品では「著書」の一節を引用するシーンがいくつかありました。例えばインタビューの間や、ジェシーに読み聞かせる本、ジョニー自身が読む本など。作品の中にもまた、作品がある。その作品をしればもっとこの作品が面白くなるんじゃないだろうか。(なんかすごくややこしいことを言っている)と思います。私も「オズの魔法使い」読んでみようかな。他の作品も調べてみよう。と、こういうのめり込みやすいところが根っからのオタク。

 

特に印象的なのは子供たちへのインタビュー。この映画は子供の声で始まり子供の声で終わるのだ。作中のインタビューは台本なし。つまり、アメリカの子どもたちの本音がそこにある。

youtu.be

「未来について」「子供からみた大人」・・・

それから「自分の親が子供だったら、どんな事を教えたい?」この質問は面白かったな。

これは、親からどんな教育をうけているかや、子供が反面教師にしていることまでよくわかる質問だと思う。

 

それにしても私が子供の時は、こんなに世界や未来といったスケールのことに関心があっただろうか?明日の給食の献立や、休憩時間の遊びのこと・・・ほんとに半径何メートルかのことしか考えていなかったような気がする。

 

まあ、どっちがいいとも言えないが。

 

映画館をでたあとの気持ちは、見る人によってかなり違うんだろうな…と。

日常が愛おしくなる映画だけど、独身の私はどっちかというとまだジェシー目線なのか、ノスタルジックな後味だったかな。

それにとにかく、子どもたちのまっすぐな思いに強く心打たれた。

 

あなたは同じ質問をされたらなんて答えますか?

 

大人だって、しっかりと未来を見つめるべきだ。

「 カモン カモン 」